wallstat連携オプション

本オプションをご利用いただくには、「構造EX」本体の他に【伏図・梁せい算定オプション】および【許容応力度計算オプション】が必要です。

「wallstat」とは

京都大学生存圏研究所(2019年現在)の中川貴文准教授が開発した倒壊解析ソフトウェアです。振動台による実大実験や数値解析をもとに行われた地震時の木造住宅の挙動に関する知見を盛り込んだ木造軸組構法住宅の建物全体の大地震時の損傷状況や倒壊過程をシミュレートする数値解析プログラムです。

ホームズ君「構造EX」の「wallstat連携オプション」とは?

wallstatは専門性の高いソフトウェアであるため、その操作性については課題があると考えます。これらの課題を解決し、多くの方にwallstatを利用できるようにするための機能が【wallstat連携オプション】です。
本機能はCEDXM等を経由せず直接連携しています。このため、「構造EX」で許容応力度計算に必要な設定を行っていれば、wallstatでの追加の入力は原則必要とせず、解析が可能です。

wallstat連携オプション、CEDXM連携、関係図

wallstat連携オプションの特長

条件設定画面で地震波や荷重等の設定を行うだけでシミュレーションが可能です。許容応力度計算をおこなったデータがあれば、条件設定画面で地震波や荷重等の設定をおこなうだけでwallstatシミュレーションが可能です。
そのほか、繰り返し加振が可能、雑壁を考慮可能、地震波12種類収録、屋根形状も連携、層間変形角の算出、などの機能が搭載されていて、詳細でスピーディーに「wallstat」のシミュレーションが可能になっています。

wallstat連携オプション 紹介動画

wallstat連携の操作フロー

wallstat連携の操作フロー

wallstat連携オプション機能一覧

建物モデルの生成

「構造EX」の許容応力度計算を行うために必要な入力が全て設定済みの状態が条件です。
wallstatで追加の入力は原則必要ありません。

【連携可能項目】

  • 間取り(壁)

  • 面材耐力壁

  • 準耐力壁

  • 垂壁・腰壁

  • 筋かい

  • 水平構面

  • 柱、通し柱

  • 柱頭柱脚接合部

  • 梁、桁、土台、大引

  • 横架材接合部(一律、羽子板ボルト相当)

  • 屋根、小屋束(wallstat解析には影響なし)

  • 建物荷重

各部材のパラメーター情報付加

  • 「面材」「筋かい」「床水平構面」「屋根水平構面」「柱頭柱脚接合部」の5種類は各仕様毎に骨格曲線が定義されており、wallstatのパラメータ情報として連携されます。

  • 「構造EX」に初期設定される標準部材には全て骨格曲線の値が設定されています。

  • 面材や水平構面を任意追加登録したものには、骨格曲線情報もあわせて登録をおこなってください。

各部材のパラメーター情報付加

入力地震波の選択

  • wallstatの解析で用いる地震波を選択します。

  • wallstatに同梱されるものと同じものが予め登録されています。

  • 計測地震波6種類、人工地震波:12種類が初期設定されています。

  • 任意の地震波を追加登録可能です。

  • 地震波のデータは下記のWebページ等から入手して、追加登録できます。

入力地震波の選択

各地震波の加速度応答スペクトル表示

【wallstat連携オプション】で使用可能な地震波の加速度応答スペクトルを求め一括表示します。
木造住宅に大きな被害を与える1-2秒周期の振動を多く含むかなどの地震波の特徴を知ることができます。

各地震波の加速度応答スペクトル表示

建物モデルの荷重計算

wallstatに連携する「荷重」の計算方法が選択できます。
wallstatの解析結果をより実情に近いものにするには実情を考慮した荷重を使用します。

建物モデルの荷重計算

wallstat解析データの管理機能、最大層間変形角(rad)表示機能

1つの「構造EX」のデータにおいて、地震波や荷重の条件を変えてwallstatの解析を複数回行う場合が多いので、それぞれの計算条件ごとに名前を付ける機能です。
結果を表示する際にも名前と計算条件を確認し、目的の解析結果を選択します。
wallstatの解析結果をもとに各層の最大層間変形角(rad)を計算し表示します。

制振装置(制振ダンパー)に対応

wallstat連携時に考慮できる部材に、制振装置(制振ダンパー)が追加されました。
構造EXで入力および許容応力度計算を行った制振装置について、wallstatに連携して、制振装置(制振ダンパー)の特性を考慮した倒壊解析シミュレーションを行うことができるようになります。
※wallstat Ver.4.0.0 以上、および、制振装置の性能に関する各種データが必要です。

制振装置(制振ダンパー)に対応

wallstatのシミュレーション結果の傾向と分析

wallstat連携 よくあるご質問

『耐震等級3の建物であっても倒壊しました。なぜでしょうか?』

理由としては、以下2点が影響していると考えられます。

  • 基準法の「極めて稀に発生する地震」と選択した地震波の差
    基準法壁量計算や許容応力度計算は建築基準法で想定している「極めて稀に発生する地震」に対して倒壊、崩壊しないことを確かめるものです。
    wallstat連携で入力地震波として選択できる「人工地震波(極稀~)」が、上記の「極めて稀に発生する地震」に相当します。
    「JMA神戸」をはじめとする過去の大地震で観測された地震波の強さは「極めて稀に発生する地震」を上回っています。
    ※「応答スペクトル表示」機能を使って「JMA神戸」との強さの差をご覧いただけます。
    よって、耐震等級3として設計したプランであっても選択した地震波による地震力の1.5倍に耐えられるとは限らないと言えます。

  • 設定されている建物荷重
    wallstatの開発者、国土交通省 国土技術政策総合研究所の中川氏から伺った話によれば、「wallstatで計算を行う際の許容応力度計算用の荷重は構造計算用の重量であり、構造設計に用いる数値としては妥当ですが、ある程度の安全率を見込んでいるため、実際の建物の重量とは乖離があります。
    そのため、過去に観測された地震動を入力すると実際の地震被害よりも変形が大きくなる傾向になります。過去に生じた地震動に対する被害を再現するためには、「実情を考慮した荷重」を与える方がより実態の耐震性能に近いといえる」とのことです。
    「許容応力度計算で算出した荷重」は「実情を考慮した荷重」の1.5倍弱の値となっているため、「許容応力度計算で算出した荷重」でwallstat連携を行った結果は、実際に地震波から受ける地震力の1.5倍弱を与えた結果を再現していると考えられます。

上記①②が影響すると、wallstat連携による計算は、「極めて稀に発生する地震」よりも大きい地震波によって生じる地震力の1.5倍弱を与えた結果を再現するものとなり、耐震等級3で設計したプランであっても倒壊することはありえると考えられます。

注意事項

wallstat連携のご利用にあたっては、以下にご了承ください。

  • wallstatによる計算結果は、建築確認の際の構造計算としては用いることはできません。

  • wallstatによる計算結果や動画は住宅の耐震性能を表現しておりますが、実際の地震に遭遇したときの倒壊状況を正確に表現しているわけではありません。

  • wallstatによる計算結果に問題がなくても、地震による被害を受けないことを保証するものではありません。

  • 「構造EX」との連携におけるwallstatの計算結果に対する責任は、株式会社インテグラルにのみあります。
    ※ 国立開発法人建築研究所と中川貴文氏とインテグラルによる覚書による。

デモ画像

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